商標出願②
お世話になります!㈱ILCO 代表伊藤です。
前回の続きです。
私が今回の商標出願において一番痛感したのは、”弁理士”というのは事業計画の相談相手ではなく、あくまで”特許関連に詳しい弁護士”だという事です。
弁護士は、助言・アドバイス・代理人業務は行いますが、裁判の判決に責任は負いません。弁理士もそういった立ち位置となります。
“弁理士”というのは、”医者”にも例える事が出来ると思います。
というのも、医者にも色々で、患者が「お腹が痛いので痛み止めを下さい。」と言う時に
・医者A「分かりました、痛み止め1週間分出しときますね~。はい、お大事にしてください~。」
・医者B「そうですか、痛み止めは出しますが、念の為◯◯の検査しときますね。今◯◯が流行ってますからね~。ちなみにここ数日で◯◯な症状は無いですか?」
という医者と分かれるかと思います。
ざっくり言うと、受け身の医者(場当たり的な治療・診断)を行う医者と
患者の立場に立ち、病気の根治を目指す医者
みたいな事です。
実は、弁理士も全く同じで
弁理士という業種は資格を有する人も少なく、とてつもない膨大な仕事量をかかえているので忙しい弁理士が殆どです。
ですから弁理士次第で、商標戦略(課題解決)の手腕・協力姿勢が異なるという事になります。
具体例でお話をします。
弁理士に対して、
「商標”ILCO FITNESS(イルコフィットネス)”を取りたい。主な使用目的は、既製品のヨガマットを少しアレンジして、自社オリジナル品として販売をする際に、他社に真似されないように類似品対策がしたい。」
と伝えた場合
・弁理士A「分かりました。それでしたら区分は27類(マット類)の1区分での出願となりますね。かしこまりました。」
・弁理士B「分かりました。マットですから区分は27類ですね。ちなみにですが、販売チャネルはどの様なものですか?Amazon等の通販?それとも店舗等での直販ですか?パッケージに貴社の企業ロゴは印字しますか?」
と分かれます。
この両者の違い分かりますか?
この違いは、重大です。
「商標取得」というのは、役務(えきむ)と言って、その商標が何の標(しるべ)なのか、指定する事を指します。
「SONY(プレステ)」と「SONY(美容室)」
は違う商標区分でそれぞれ取得出来るという事です。
ヨガマットの場合、元々店舗等が有り商品を販売する場所が有るのであれば、オリジナルのヨガマットを自社品として製造・販売するだけですから
27類の1区分の商標「ILCO FITNESS」を取得するだけで十分なのですが
実店舗が無く、Amazon通販等での販売がメインなのであれば、27類だけではなく、35類(製品の仕入れ・転売)という区分も押さえて計2区分で出願をしないと後々、天と地ほどの差が出ます。
Amazonショッピングの商品ページで良く見かける例は
①店の屋号(資生堂)
②製品の名前(デオドラントスプレー)
③製品の詳細④製品の写真
みたいなレイアウトですよね?
もし仮に、”ILCO FITNESS”のヨガマットをAmazonで販売した場合
①ILCO FITNESS(屋号)
②製品の名前(ヨガマット)
③製品の詳細
④製品の写真
となります。
この時
弁理士Aの場合、”ILCO FITNESS”は27類(ヨガマット)で商標を取った為、1区分の商標で全く問題が無い様に見えますが、これはかなり危険です。
将来的に、Amazon商品ページにて、次の様な状態が考えられます。
①ILCO FITNESS(パクリ他業者)
②ヨガマット(パクリ類似品)
③製品詳細(同じ)
④製品写真(同じ)
なんと
全く持って見分けが付かないのです!!
しかも何の法律・コンプライアンスにも抵触せずに問題なく販売され、商品は売れていく事となります。
なかなか面白いですよね。
このカラクリ、分かりますか?
次回に続く