「よく考えろ」って言われても。。。

Teru thought


「おまえ、もっと良く考えろよ。」

 

 

日常でも、ドラマでも、どこででもよく聞く言葉である。

 

ところが言われた本人は「考えろって言われても、自分なりには考えて行動してるんだけどな。。」ということになる。

 

「そもそも、どうやって考えたらいいんだろ」とも思っている。

 

 

 

若い人は大人に「人生はよく考えて生きなければなりません」と説教されても

「ん~~~、そもそも、なにをどう考えるだ?」という状況になってる。

 

 

私の経験を言えば、学生のときに臨時でサッカーのゴールキーパーを突然やったことがあった。

相手が最終ディフェンダーを抜いてしまい、キーパーの私と1対1の状態になった。

どうしたらいいんだ?どうしたらいいんだ?

キーパーだからゴールにくっついてるべきか?

でもこういう状況ってTVみてもキーパーは飛び出るよな。

 

 

迷いながら結局私は相手がシュートを打つ前に止めようと前に飛び出したが、相手は私が飛び出すやいなや広いゴールにポーン軽くボールを蹴ってゴール。

 

 

味方から、キーパー判断しっかりしろ!と叱責。

判断っていわれても、え~、じゃあ、やっぱりゴールにぴったりついて相手のシュートを待っていれば良かったのか?

いや、それもアカンやろ、どうしたらよかったんだ??

判断しっかりしろ!といわれても、なにをどう判断したらいいか初めてのキーパーだからわかんないよ。

というか1対1の状態になった時点で俺の責任じゃないと思うんだが。。

 

 

あとでわかったのは、私がどうしらいいんだ?

前に飛び出るのかゴール前にとどまるのかと悩んでまごまごしている時間がまずかったのだ。

相手が最終ディフェンスを抜いたとき、ボールが相手の足元から結構離れて前方に転がっていたので、そのタイミングですぐに私が飛び出していたら、私が先にボールに触れて十分クリアーできたのだ。しかし、キーパーだからゴールを守るべきか?いや、ここって飛び出したほうがいいのか?どうしよ、どうしよ。

と、まごついていた時間がまずかったのだ。瞬間の機会は過ぎていたのだ。

 

 

なにが言いたいかというと、考えろって言われても、周りは見えて分かっているかもしれないが、本人はそもそも考えてないわけじゃないけど、考えても分からないから問題なのだ。

 

考えても分からない相手にたいして「よく考えろ」という言葉は、全く意味がない。

しかし、このような状況がちまたにあふれている。そして、この叱責はおおよそ相手にキズを負わせて終わるだけである。まるで足が遅い子に「早く走れ」と言ってるようなものである。

 

 

なんでこういう状況になるかというと

 

1.「よく考えろ」と言ってる人間も「よく考えていない」で言っている。

2.ひとまず感情的になって言っている。

 

 

どうしたらいいのかというと、説明すること。相手に理解できるように。感情的にならず。

 

「お前もっとよく考えろ」という言葉が出てくるのは、もどかしかったり、がっかりしたり、いらっとしたり、なにかしら感情的になってるときにでて来る言葉だ。しかし、そもそも相手は考えてけど、その判断しかできなかったのだから、それに追い打ちをかけても意味がない。

 

 

冷静にあいてに理解できるように説明することだ。

 

 

これは大人が子供叱るときに良く見かける。

とにかく「こういうことをしちゃダメ!」「あれもダメ!これもダメ!」子供はなぜダメなのか全くわかっていない。

説明してくれたらいいのにと思っている。そういう意味で、大人こそ考えが足らないと思うことが多々ある。子供も理解したら正しい判断をするのに子供だから理解できないと思ってか、ただ「だめ!」と叱る。

 

 

違う。子供も十分に理解力はあるのだ。

 

 

私の体験だ。確か5歳のときだ。

事故かなにか分からないが片足を失った人が松葉杖をついて歩いていた。

私は片足がない人を初めてみて、とても不思議だった。

今まで見てきた人は当然皆2本の足があったからだ。

それで隣にいた母親に「おかあさん、あの人はなんで足が1本しかないの?」とその人を指さしながら聞いた。

 

 

 

そのとたん、どえらく叱られた。

「人様に指をさしてそういうことを言うんじゃありません!!」と。

ものすごく怒られたので40年たった今でも覚えている。

 

まったく悪気がなくただ不思議だったから、蝶や鳥を指さして、「お母さん、あの蝶はなんていう名前?あの鳥すごく不思議な色をしてる!」というのと同じレベルで、「あの人はなんで足が1本しかないの?」と聞いただけなのに、いきなりきつく怒鳴られたもんだから、とにかくなんで怒られているのか理解ができず、きょとんとしてしまった思い出がある。

 

 

怒られた意味が理解できるようになるのは、その5年後くらいだった。

 

 

しかし、5歳の私にも、うまく説明してくれたら理解できたはずだ。

 

 

とにかく、「お前もっとよく考えろよ」この言葉。

言っても相手に意味がないので、もっと相手のためになる具体的助言、具体的説明こそが相手の次なるステップアップにつながるので、むやみに口にしないようにしたほうがいいかと思う。

 

 

足の遅い子に「早く走れ」ではなくて、早く走れる方法を教えるなりしないと意味がない。

早く走る方法を知らないなら、そういう言葉を吐くべきではない。

「お前、もっと良く考えろよ」という言葉は、その本人こそが「もっとよく考えて」話すべきだろうと思うところがあって、今日は文章を書いてみた。(別に最近私が言われたわけではない)