竹馬の友との別れ①
2022年10月10日
ピンポーンと実家のベルが鳴る。
こんな夜に宅急便か?と思いきや、
小学生の時の幼馴染のG君だった。
「俺、引っ越すことになったから挨拶に来たよ。」とのこと。
彼と僕とは現在同じ団地に住んでいる。
といっても、僕がこの団地に帰って来たのは4年前、
母の認知症の介護のために20年以上ぶりに帰ってきたのだ。
20年たった実家の入っているこの都営団地。
G君は3Fで、僕は5F。
小学生の時にこのG君とは、一緒にメンコをしたり、
ファミコンをしたり、とにかくよく遊んだものだ。
G君は僕の1つ下だったけど、
とにかく仲良く楽しく過ごした。
中学生になると、
G君も同じ中学ではあったけど部活も違ったし、
何より学年が違ったので、
全く遊ばなくなってしまった。
そして、4年前、20年ぶりにこの実家に戻ると、
G君と団地の階段ですれ違って声を掛けられてびっくりした。
まだこの団地にいたのか!と。
この団地にいるということは、
結婚できていない証でもある。
というのは、ここは都営団地なので、
基本的に入居条件があって、
入居者の子供たちは結婚したら
出て行かないといけないのだ。
彼も40代後半。。。
完全に結婚チャンスを逃している。。
とても人格的でいいやつなんだが、
いまだにアルバイト暮らしで定職についていない。
しかもアルバイトというのが、
アイドルのスカウト。
実際にアイドルになれる子もいれば、
即座にAVの世界に引っ張られる子もいるので、
本当に芸能界は闇が深くて
腐っているとG君からよく聞いた。
スカウトの仕事は手取りで12,3万程度だそうで、
しかも手渡しだから、
あしがつかないから、確定申告はしていないそうだ。
で、都営団地は家賃がすこぶる安いので、
G君の場合、居住家族全員の収入が母親の年金だけになってるので、
3LDKで家賃2万そこそこである。
(都営団地は居住者全員の年収が上がると家賃も上がって、8万、9万とかになる)
都内で3LDKで2万そこそこって、激安である。
だもんだから、手取り12~3万の彼は、
かなり悠々とくらしていけるのだ。
バイトも週3くらいで良いらしい。
だから、昼間はゲームばかりしている。
半分ニート。
そうして時が流れて、
気づいたら自分が結婚できない
厳しい年齢になったことに気づいて、
去年から婚活を始めたが
全くうまくいかないらしい。
そりゃ、そうだ。。。
40代後半でバイト生活、
貯金ほとんどなし。
認知症の母と二人暮らし。。
いいやつなんだが。。
そんなG君がお別れの挨拶をしてきた。
まあ、そのうちにお別れになるとは思っていたが。
理由は、都営団地の入居者はG君の両親だ。
そして、両親がともに他界した場合、
都営団地は子供たちに引き継がれず、
強制退去となる。
(23区内でルールが若干異なるらしい)
ただし、息子が65歳になっていれば、
受け継げるというのがわれらの区のルール
ということだが、
彼は40代なのでアウトだ。
つまり、彼の母親が亡くなったのだ。
4年前に、実家に僕が戻ってきたとき、
G君と20年ぶりの再会にいろいろ対話をしたが、
彼の母親も認知症で、
しかも僕の母親より当時は進んでいる状態だった。
G君「いや~、ほんとうちの母さん、
公園のトイレから出てきても
パンツはかないで出てきたりしてさ、
ほんとびっくりしたよ。
ひとりで公園のブランコに乗ってぶらぶらしたりして、
あと、一人で目覚まし時計を持ちながら何度も何度も
「なんで8時ならないのよこの時計は!」
とか言って部屋で怒っていて。。
で、買い物してもレジを通さずに出てきて、
店員に捕まったりしてさ、
もう無理だと思って施設に入れたんだよ。。。
正直胸が痛んだけど、
俺には介護無理だとおもってさ。。」
これが4年前にG君から聞いた話だった。
その時は、まさかうちの母親も
G君の母親のように
パンツをはかずに家を出るようになるとは
思ってもいなかったが。。。
まだ4年前の僕の母は、
彼の母親より認知症の症状が
ましだった頃だったからだ。
いずれにしても、
G君の母親が茨木だったか、
栃木だったかの老健に入って
(都内は高いし、そもそも空きがあまりない)から、
さらに認知症が進み、
そのうちガンにもなったと聞いて、
もう長くないかもと去年聞いていた。
そして、今年の4月に他界したそうだ。
お通夜も葬式もあげなかったそうだ。
だから、僕もG君の母親が他界したことは、
この時に知った。
それで、入居者である母親が亡くなったので
6か月以内に都営住宅を
退去しなければならないルールなので、
6か月後の10月、
退去直前となって彼が僕の家に来たのだ。
ちなみに、彼の父親は
もう15年くらい前に他界している。
これからG君はどうするのか?と聞いたら、
ここから3駅くらい離れたところの
ボロアパートを契約したらしい。
都内で木造、4畳半で
家賃と共益費込みで5万円ジャストだそうだ。
都内で5万は安い。
にしても、今後どうするのかと聞くと、
アイドルのスカウトのバイトは
辞めようと思っているらしい。
収入も安定しないし、
アイドルになった子たちが大体、
体を要求されて可哀そうで、
胸が痛むとのこと。
僕からも辞めたほうがいいと勧めた。
もう少しまともな仕事しないと
結婚もできないよと話した。
本人もそう思っているらしいが、
何しろ面倒くさがりなのが彼の難点だ。
引っ越しということで、
3Fの彼の家にいったら、
小学生時代に一緒に遊んだファミコンソフトの上に
1㎝くらいほこりが積もっていて、
それ以外もいたるところほこりだらけだった。。
本当に掃除をしていないのだ。
こんなんで社会に適応できるのか不安になったが、
ひとまず今後頑張ってほしいところ。
引っ越しが終わったら、
飯をおごるからと約束して別れた。
時の流れは寂しいものだ。
思い出は、思い出でしかない。
彼と遊んだ小学生時代の思い出が、
この団地や、近くの公園、
近くの小道に全部残っている。
メンコ、蝉取り、キャッチボール、
キン肉マン消しゴム、ファミコン。。
すべては過ぎ去った。
今でもはっきり思い出せるものが多い。
彼の亡くなったお母さんのことも
よく覚えている。
しかし、現実は現実だ。。
虚しいものだ。。
さて、この時、彼と1時間くらい話をして、
とても不思議な話を彼から聞いたので
パート2で書きたいと思う。
ゴミ屋敷を整理するとかかる費用、実家は320万円か?
母親が認知症になってしまった!残されたのは大量のゴミ、ゴミ、ゴミ。。。筆者はゴミ屋敷と呼べる母親の家を片付けることにした。その内容とは?